家を新築で建てるときには、必ず多額の費用がかかってしまいます。さらに、家に限らず建築物は、外壁などの建材が経年劣化してしまうため、定期的にメンテナンスをしなければなりません。

それにもある程度の費用が必要になります。

土地代や骨組みなどの構造材は、安価に抑えることが極めて難しいところです。だからこそ、建てたあとにかかる出費を少しでも抑えたいと考える方は、とても多いことでしょう。

こちらでは、昨今人気を集めている『メンテナンスフリー』といわれる外壁について紹介します。
フリーだからといってメンテナンスが不要なわけではないですが、正しい素材選びをすれば、メンテナンス費用を安くできることも事実です。

メンテナンスフリーの外壁てなに?

その名前から「この外壁にすればメンテナンスがいらないのか」と考えられがちですが、正しくはそうではありません。

どうすればメンテナンス費用を抑えられるのか考える前に、一体どのような外壁のことを『メンテナンスフリー』と呼んでいるのか、まずはしっかりと把握しましょう。

メンテナンスフリーの外壁とは

メンテナンスフリーの外壁には、建設業界のなかで決まった定義があるわけではありません。今のところ、メンテナンスフリーと呼ばれる外壁に当てはまるのは、耐久性に優れた素材や工法で造られたものとなっています。

一般的に外壁は、建築してから10年から15年が経過したら修繕が必要とされています。その『建築してから何年』という数字をできるだけ延ばすことができる外壁のことを、業界内ではメンテナンスフリーと呼んでいるのです。

つまり、メンテナンスフリーの外壁とは、あくまでも耐用年数が従来のものより長いというだけであって、メンテナンスが永久に不要というわけではありません。

どんな素材や工法で造ろうとも、劣化は必ず起きてしまいます。そのため、メンテナンスの回数を減らすことは可能であっても、定期的なメンテナンスは避けられないということです。

そうだとしても、回数を減らすことができれば、十分にメンテナンス費用の節約にはつながります。メンテナンスフリーと呼ばれる外壁で建築することにも意味はあるのです。

メンテナンスの手間を省くには『耐久性』が重要!

メンテナンスフリーの外壁とは、つまり耐久性が高い外壁ということです。そのため、メンテナンスフリーと呼ばれるほどの外壁にするには、その素材や塗料の選び方に気を付けなければなりません。外壁の耐久性とは、いいかえれば、素材や塗料の耐久性だからです。

外壁素材の耐久性比較

メンテナンスフリーの外壁を造るためには、風雨や日光といった外壁に影響をおよぼすものに対して、高い耐久性のある素材を必ず選ばなければなりません。

まずは外壁として使われる代表的な素材について紹介します。これらの素材のなかから、耐久性に優れたものを採用することで、メンテナンスフリーと呼ばれる外壁を造ることが可能です。

■タイル
外壁に採用されるタイルは、主に土や石などを混合し、高温で焼いて成型したものです。傷や汚れに強いタイルは耐久性に優れており、耐用年数は50年から80年といわれています。メンテナンスフリーの外壁に使われる素材として代表的なものです。

ですが、そんなタイルを採用したからといって、やはりメンテナンスは必要になります。特に目地部分(コーキング)の劣化には気を付けなければなりません。目地部分の寿命は8年から10年といわれているため、10年を目安として交換を検討する必要があります。

■モルタル
モルタルは水・砂・セメントなどを混ぜて作ります。モルタルは左官職人がコテで下地に塗っていくものですが、その際の塗り方や塗る厚みによって、外壁表面の質感や手触りなどを個性的なものにすることが可能です。

デザイン性の高い外壁にしたい、オリジナリティを出したいという方は、モルタルを外壁材に採用することで希望がかなうかもしれません。

しかし、モルタルで造られた外壁にもデメリットはあります。それは、経年劣化やひび割れが目立ってしまうということです。効果的な対策としては、下地に耐久性の高いものを採用したり、優れた耐久性をもつ塗装を施したりすることがあります。

■サイディング
工場生産されたサイディングボードというパネルを、外壁に貼って仕上げる方法です。左官職人の技術力によって出来栄えが左右されるモルタルなどと違い、工場で作られることで仕上がりが均一になります。

サイディングボードには窯業系や金属系、木質系や樹脂系などいくつかありますが、そのなかでメンテナンスフリーの外壁に適したものを紹介します。

【金属系】
芯材として使う断熱材を挟むようにして、ガルバリウム鋼板やアルミ板などを使った表面と、アルミを加工した紙を使った裏面をもつサイディングボードになります。シンプルで現代的な外観にしたい人には、特におすすめの外壁材です。

素材であるガルバリウム鋼板やアルミ板の耐用年数は、アルミが30年から35年、ガルバリウム鋼板が25年から30年といわれています。タイルなどと比べると劣りますが、主な外壁材のなかで考えれば、それほど耐久性が低いわけでもありません。

ですが、材料自体の耐用年数はよくても、サイディングボードに施されている塗装の劣化には注意が必要です。

塗装は大体10年から15年で劣化するといわれています。アルミなどの原料と比べて半分ほどしか耐用年数がありません。時期が来ればメンテナンスが必要になります。

【樹脂系】
塩化ビニル樹脂を原料に作ったサイディングボードです。耐用年数は40年から50年といわれており、ほかの素材や工法で造られたサイディングボードと比べて最も優れています。

しかし、このサイディングボードを外壁材として使うと、施工価格が高額になってしまう場合が多いです。さらに、あまり認知されていないことから施工実績の多い業者も少ないため、外壁材として採用する際には注意しなければなりません。

■レンガ
レンガは紫外線にも強く、素材自体の耐用年数は100年以上あるといわれています。そういった理由から、数ある外壁材のなかでも、最もメンテナンスフリーと呼ばれるにふさわしい外壁材です。

しかし、レンガ同士を接着させる目地材としてモルタルが使われるため、レンガで造ったからといってメンテナンスが不要になるわけではありません。レンガに不具合が生じなくても、目地材のモルタルにひび割れが起きてしまえば補修が必要になってきます。

以上が、メンテナンスフリーと呼ばれる外壁に採用されていることの多い素材です。特にタイルとレンガは、メンテナンスフリーと呼ばれるにふさわしい外壁材といえます。

しかし、完全なメンテナンスフリー、つまりメンテナンスが永久に不要な外壁というものは、まだ存在しません。それを踏まえたうえで、高い耐久性をもつ素材で外壁を造りましょう。

塗料の耐久性を比較

外壁の基礎となる素材のなかで、メンテナンスフリーにふさわしいものはなにか、ということを紹介してきました。しかし、外壁は前述した素材だけで造られているわけではありません。

ほとんどの場合、なにかしらの塗装が施されています。そのため、メンテナンスフリーと呼ばれる外壁を造る際には、塗料の耐久性についても考える必要があるのです。

ここからは、外壁材として使われることが多い塗料について紹介していきます。外壁のメンテナンス回数をできるだけ減らすためにも、耐久性のある塗料を選びましょう。

■アクリル系
アクリル系合成樹脂によって作られている塗料です。この塗料の耐用年数は、5年から7年といわれています。安価に入手できることや発色性の良さから、昔はよく使われてきた塗料です。しかし現在ではシリコン系塗料が普及したことによって、ほとんど使用されなくなりました。

■ウレタン系
原料にウレタン樹脂を使っている塗料です。耐用年数は8年から10年といわれています。柔らかな塗装面になることから、木や鉄といった、塗装がはがれやすい材料に対してよく使われます。

ただし、紫外線に弱くて変色しやすいという欠点があるため、外壁塗装には不向きです。木や鉄が構造材として使われている建物のうち、日の当たらない箇所に使われます。

■シリコン系
原料はシリコン樹脂です。耐用年数は10年から13年といわれています。数ある塗料のなかでも耐用年数と施工にかかる費用のバランスが良いため、多くの人から支持されている塗料です。現在、最も普及している塗料といっても過言ではありません。

■ラジカル塗料
2012年頃に、日本の大手塗料メーカーが開発した塗料です。原料はアクリル樹脂になります。では、アクリル系塗料となにが違うかというと、その製造方法です。

ラジカル塗料は、塗料が紫外線によって劣化する際に起きるラジカル反応という化学変化を制御、抑制することが可能な新技術によって作られています。

そんなラジカル塗料がもつ最大の特徴は、シリコン塗料とほぼ同一の価格でありながら、耐用年数が10年から15年と、シリコン塗料よりも長いことです。

まだ普及して間もないため、どの業者も施工実績は少ないといわれていますが、シリコン塗料以上のコストパフォーマンスを誇ることから次世代の塗料として期待されています。

■フッ素系
フッ素樹脂によって作られています。耐久性能に優れており汚れにも強く、耐用年数は15年から20年と塗料のなかでも長いほうです。しかし、ほかの塗料と比べて施工にかかる費用が高くなるため、外壁塗装として採用する際には注意が必要です。

■光触媒塗料
太陽光によって外壁の汚れを分解し、雨水でキレイに洗い流すことが可能になる塗料です。外壁塗装として使用される塗料のなかで、最も汚れを防ぐ性能があるといわれています。

しかし、よいことばかりではありません。光触媒塗料が一度塗装された外壁は、次に塗装しなければならなくなったときに、新しい塗料の密着度合いが悪くなってしまうのです。

■無機塗料
塗料の原料に、石や粘土などの無機物(鉱物)を配合して作られます。無機物は紫外線によって劣化しないため、この塗料も紫外線に対して非常に強いです。

その高い耐久性から、耐用年数は20年から25年と、流通している塗料のなかで最も長持ちするといわれています。ただし、ほかの塗料と比べて価格が高いため、選ぶ際には注意しなければなりません。

以上が、外壁塗装に採用される代表的な塗料です。紹介したもの以外にも種類はまだありますし、紹介した種類のなかでも商品によってすこしずつ性能が違ってきます。

ですが、商品は違っても原料が同じであれば、まず耐久性に大きな違いはでません。メンテナンスフリーの外壁を造るためにも、耐用年数の高い原料で製造されている塗料を選びましょう。

外壁塗装に必要なメンテナンスとは?

ここに至るまで繰り返し書いてきましたが、メンテナンスフリーとはいっても現在の外壁材や建築方法では、完全にメンテナンスの不要な外壁を造ることはできません。

必ずメンテナンスが必要な時期は来てしまいます。そのため、外壁のメンテナンスについて、できるだけ詳しく知っておくことが大切です。

外壁メンテナンスの内容
天候などの条件もあって変わることはありますが、外壁のメンテナンスは一般的に10年ごとにおこなうものです。

メンテナンス内容には主に、『外壁塗装の塗り替え』や『目地部分(コーキング)の補修』、『ひび割れなどの修繕』や『外壁そのものの取り換え』などがあります。このなかで特におこなわれているのは、外壁塗装の塗り替えと目地部分の補修です。

外壁メンテナンスをしないとどうなるの?
外壁材に使われる素材には、高い防水機能や断熱性能はほとんどありません。外壁が水を弾いたり熱を遮ったりするのは、外壁塗装に使われている塗料の働きなのです。

だからこそ外壁塗装の劣化が確認できたら、塗料をしっかりと塗りなおす必要があります。放置しておけば劣化はひどくなり、最悪の場合、外壁から雨漏れが起きる危険性もあるからです。

また、目地部分とは、タイルやレンガなどの外壁材の継ぎ目に該当します。この目地部分に劣化が確認できたなら、できるだけ早く補修をおこなわなければなりません。

なぜなら、そこから雨水が侵入するおそれがあり、最悪の場合はその雨漏れによって、屋根や柱といった建材が腐食する危険性があるからです。

さらに、メンテナンスを怠ってしまうと、雨漏り以外にも外壁にカビやコケが生えてしまったり、外壁塗料が色あせて見栄えが悪くなったりするおそれがあります。

外壁のメンテナンスは、外壁だけでなく建築物そのものの耐久性、つまり寿命にかかわってくる重要なことです。費用はかかってしまいますが、必ずおこなうようにしましょう。

気になるメンテナンス費用とは?

外壁のメンテナンスは、建築物自体を守るためにも、やらなければならないことです。しかし費用次第では、どうしても難しい場合もあるでしょう。ここでは外壁メンテナンスに関する費用について紹介します。ぜひ参考にしてください。

メンテナンスの費用相場
外壁メンテナンスの費用は、外壁材やメンテナンスの内容、メンテナンスをおこなう外壁の面積によって変動します。たとえば、金属系のサイディングを外壁材として使っている場合は『1平方メートルあたり約5,000円から9,000円』というのが相場です。

ここに、さらに外壁の面積という条件が加わり合計金額が算出されます。また、外壁材に塗装を施すとなれば、使う塗料の種類によって1平方メートルあたりの価格はあがってしまいます。

どんな外壁材を使っていたとしても、おこなうことの多いメンテナンスの費用相場としては、まず目地部分の補修が『50,000円から200,000円』です。そして、外壁の汚れに対して高圧洗浄で掃除をするメンテナンスは、『20,000円から30,000円』になります。

前述しましたが、外壁のメンテナンスは『どんな素材や塗料を使っているのか』や『どんなことをおこなうのか』、『どれほどの面積なのか』によって費用がこまかく変わってきます。

そのため、ネットなどに記載されている金額はうのみにせず、あくまでも概算として考えるようにしてください。

外壁塗装は『耐久年数』を考慮してコスパをあげる!
建てるときに耐久年数の長い外壁材や塗料を選んでおけば、費用を大きく抑えることができます。なぜなら、耐久年数の長い外壁材や塗料であれば、メンテナンスの回数を少なくできるからです。

耐久性の高い外壁材や塗料は比較的高価なものが多いですが、長い目で見たときに『建物にかかる費用』を抑えるという意味で、大きな役割を果たすことになります。目先の金額だけにこだわるのではなく、将来的なことも踏まえて素材を選びましょう。

自分でできるメンテナンスの範囲

外壁のメンテナンスは、基本的に業者へ依頼することになりますが、なかには自力でおこなえることもあります。たとえば極めて細いひび割れの修繕や、目地部分の補修であれば、ホームセンターなどに売っている材料を使うことでおこなえます。

さらに、外壁の汚れやコケも、手が届く範囲であれば、中性洗剤とぬるま湯でこすってみればキレイにすることが可能です。

外壁材によっては使えない場合もありますし、なによりケガをしないように注意が必要になりますが、家庭用の高圧洗浄機やスチームクリーナーで効率よくキレイにする方法もあります。

メンテナンスは大掛かりなものになると、どうしても数万円から十万円以上が必要になるため、自分でメンテナンスできるところは自力でやってしまいましょう。

軽度なメンテナンスを自力でおこなうことでできるだけ出費を抑えておき、重大なメンテナンスが必要になるときに備えて少しでも貯蓄しておくことをおすすめします。

業者に依頼すべきメンテナンス
メンテナンスの内容としては、主に5つあります。『外壁塗装の塗り替え』や『目地部分の大規模な補修』、さらに『外壁材の張り替えや接着剤の注入』に『ひび割れをしている外壁材の修繕』、そして『雨漏り修理や防水加工』です。

考え方として、自力でおこなえない規模の作業である場合には、業者に依頼するようにしましょう。

自分でやることに対して不安や心配を抱いた場合は、触らないでおきましょう。費用を抑えようと無理をすれば、やらなくてもいいことをやってしまい、結果的に業者へ依頼した際に費用がかさむおそれがあります。

前述しましたが、手が届く範囲で、自信をもっておこなえる部分だけメンテナンスをして、それ以上は業者を頼ってください。

信頼できる外壁メンテナンス業者を選ぶコツ

外壁のメンテナンスは、大掛かりな作業になるからこそ、信頼のおける業者に必ず依頼しなければなりません。ここからは業者選びのポイントを紹介します。

複数業者から相見積りをとる
外壁のメンテナスは、業者によって同じ条件で見積りを依頼しても、金額に差が生じるおそれがあります。それは業者によって、費用を出す計算方法や計算単価に違いがあるためです。だからこそ、必ず複数の業者から相見積りをとりましょう。

業者のなかには、不当な金額を見積りで提示してくるところもあります。ほかの業者もこんなところだろうと安直に考えて、その業者に依頼してしまうのではなく、相見積りは必ずおこなってください。相見積りをすれば、不当な金額に引っ掛かることも防げます。

業者の数は大体3社から4社がおすすめです。面倒に思えるかもしれませんが、4社に同じ条件で見積りをおこなってもらえば、大体、メンテナンス費用の相場も把握できるかと思います。相場を知ったうえで、最も納得できる金額の業者に依頼してください。

実績の多さで技術力を確認
相見積りを依頼する業者を選ぶ際に、実績の多い業者をできるだけ選びましょう。実績が多いということは、それだけ多くの人から依頼されているということだからです。実績が少ない業者よりは、多数からの依頼をこなした業者のほうが技術力も高いといえます。

保証内容もチェック
相見積りを依頼する業者を選ぶときは、アフターフォローがあるかどうかも重要です。外壁メンテナンスでのアフターフォローの内容は、定期点検が一般的です。

業者のなかには無料で定期点検をおこなっているところもあります。アフターフォローの内容は業者によって違う場合もあるため、HPで確認するか、無料の電話相談などで必ず確認しましょう。

スタッフの対応のよさも重要
外壁材や塗料の種類、メンテナンスの内容や費用の算出方法など、メンテナンスにかかわることは、プロでもなければ知らなくて当然だといえるほど複雑なものです。

少しでも不明な点があれば、必ずスタッフに尋ねましょう。納得できるまで懇切丁寧に説明してくれるという点も、業者選びの大切なポイントです。

まとめ


メンテナンスフリーという名称は、最近では本当によく使われています。ですが、外壁材や塗料を耐久性の高いものにすることでメンテナンスの回数は抑えられても、メンテナンスが永久に不要な外壁を造ることは、どうやらまだ難しいようです。

外壁は素材選びからよく考え、そして日々の暮らしのなかで丁寧に整備をおこなっていくことによって、耐久性を長い間保つことはできます。しかし、それでもいずれは、外壁にほころびは生じてしまうものです。

費用を抑えようと自力でメンテナンスをおこなうのもよいですが、無理をすれば状況を悪化させてしまうおそれもあります。外壁のメンテナンスは信頼のおける業者に依頼しましょう。

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