お歳暮は本来、「正月事始めの日」である12月13日から12月20日までに贈るものとされていましたが、近年は関東地方を中心に時期が早まる傾向にあり、11月中にお歳暮を贈る準備を済ませ、11月末には品物を贈ることも増えてきています。
しかし、準備が間に合わなかった、忙しさからついお歳暮の準備を失念してしまったということもあるでしょう。
そういった場合の対応についてご説明いたします。
目次
お歳暮を贈るタイミングを逃してしまったらどうする?
お中元やお歳暮は地方によって贈る時期が異なりますが、大体の目安が決まっています。
お歳暮は早い地域では11月末頃から、一般的には12月上旬頃から贈る場合が多いですが、できればお正月の準備で忙しくなり始める前、目安としては12月20日頃までに贈るのが良いでしょう。
ですが、それを過ぎてしまったという場合、お歳暮の代わりに「お年賀」として新年に贈ることもあります。「お年賀」は、1月1日から松の内の終わりである1月6~7日頃までに届けることができる場合に贈りましょう。これよりさらに年が明けて時期を逃してしまった場合には、松の内を過ぎてから立春(2月上旬頃)を迎えるまでの間に、「寒中御見舞」として贈ることもできます。
※松の内とは?
門松などのお正月の飾りを飾っている期間のことを指します。松の内の始まりは元日からです。松の内の終わり、つまり飾りを取る期間・時期は地域によって異なっています。一般的に、関東では1月7日まで、関西では1月15日までと言われています。
お歳暮をお年賀として贈る
発送の手違いなどで年内のお届けが難しい場合や、うっかりお歳暮を贈ることを忘れてしまったという場合は、相手にお歳暮欠礼のお詫びの連絡をした上で、お歳暮の代わりにお年賀を贈るようにすると良いでしょう。「お年賀」で贈る場合は、のし紙の表書きが「お年賀」と書かれたもので贈ります。
■お年賀とは?
日本には、お正月のときには新年の神様(年神様)をお迎えし、感謝するという習慣が古くからあります。
また、お正月にご挨拶回りをする習慣もあり、その際に年神様を祀る神棚へのお供え物を相手の家に持っていく習わしがありました。現在の「お年賀」の起源はここから由来していると言われています。このお供え物がいつしか新年のご挨拶回りの手土産として使われるようになり、現在の「お年賀」は、「今年もどうぞよろしくお願い致します」という意味合いとして贈るものに変化していきました。
つまりお年賀とは、旧年の感謝の気持ちはもちろん、始まった新しい年に向けて、これからもよろしくお願いしますという気持ちのこもった挨拶を、年始のご挨拶回りの際に品物として一緒に持参する贈りもののことを言います。
お年賀は、年の初めに行う挨拶ですので、相手に直接手渡しをするのが基本の考え方です。お歳暮と違って、宅配便など郵送で贈ることは基本的にNGとされています。正式には1月1日~3日の間に、もしくは松の内の終わりである1月6~7日頃(地域差あり)までに持参すると良いでしょう。
もしも相手が喪中の場合には、お年賀は贈ることができません。ですのでその場合は、寒中見舞いとして贈るようにしましょう。時期は、松の内を過ぎてからが良いとされています。
お歳暮を寒中見舞いとして贈る
お年賀の時期にお歳暮を贈りそびれてしまった場合や、相手が忌中でお歳暮を贈れない場合もあるかもしれません。
お歳暮はお祝い事ではないため、自分と相手のどちらかが喪中であってもお歳暮を贈って問題ありません。ですが、やはり贈るのが少し気になるという場合などは、寒中見舞いとして贈るのが良いでしょう。
まず相手にお歳暮欠礼のご連絡をし、その上で時期をずらして寒中御見舞の形で贈っても、失礼にはあたりません。本来寒中御見舞は、気候が厳しく寒い時期に、相手を気遣う気持ちを込めて贈るご挨拶状のことを指します。贈りものであるお歳暮を寒中御見舞の形で贈る場合は、のし紙の表書きを「寒中御見舞」などと記入して贈りましょう。
寒中御見舞を贈る時期は、一般的には松の内を過ぎてから立春を迎えるまでの間(1月8日頃~2月4日頃)です。
■忌中とは?
ご家族が亡くなり、喪に服している期間です。死を遠ざける期間という考えもあります。故人が亡くなってから49日間までを指します。
※喪中とは?
忌中亡くなった方を偲んで喪に服しているまでの期間です。元々は、喪中の期間は一周忌までの約1年間、喪服を着て外出していました。
このように、お中元やお歳暮のように時期が決まっている季節の贈りものは、贈るタイミングに合わせた形で贈るのがおすすめです。決まりごとをきちんと知って、日頃の感謝の気持ちを込めたギフトを贈りましょう。
お歳暮で贈ってはいけない品
お歳暮では相手の喜ぶものを贈るのが一番ですが、贈ってはいけない品もあります。次にあげる品物を贈るのはマナー違反なだけでなく、相手に不快な思いをさせてしまう恐れもあるので注意しましょう。
◇下着・肌着
下着や肌着などの直接身につけるものを贈ることは、相手に対して「みすぼらしい格好をしている」「生活が苦しい」「施しをしてあげる」など失礼な意味になるため、お歳暮として向いていません。
◇履物・マット
履物は「踏みつける」を連想させるため、贈り物には向いていません。マットやスリッパなども同じく「踏みつける」と解釈されるので避けるようにしましょう。特に目上の方には失礼な印象を与えてしまうことがあります。
◇時計・文房具
筆記具や時計は「勤勉奨励」と言って、もっと勉学に励みなさいという意味を持ちます。そのため、目上の方や取引先に贈るのは失礼ですので避けましょう。
◇カバン
鞄は「通勤」を連想させるため、目上の方には失礼と捉えられる可能性があり、贈るのは避けた方が無難です。
◇商品券などの金券・現金
贈る金額があからさまなうえに、相手が金銭的に困っている、という意味合いで捉えられてしまいます。また、相手が喜ぶ品物を選ぶ心遣いもないと思われてしまうため、特に目上の方に贈るのは避けるようにしましょう。
ただし、茶道教室などのような生徒数が多い習い事の教室においては、お歳暮は現金のみ受け取るとしている場合もあります。
◇刃物
はさみなどの「切る」ために使う刃物類は、「縁を断ち切る」という意味にも取れてしまいます。「今年はお世話になりました、これからもよろしくお願いします」という意味が込められているお歳暮の品物として相応しくありません。
◇ハンカチ
日本語でハンカチは「手巾」と書きますが、これは「てきれ(手切れ)」とも読めるため、刃物類と同じように縁の切れ目を連想させてしまいます。
ギフトとしてよく見かけるものですが、お歳暮では避けた方が無難です。
上記以外にも、不吉な意味の花言葉を持つ花、語呂合わせで「死」や「苦」を連想できる品を贈ることも失礼にあたります。もちろん、相手の苦手なものや嫌いなものを贈るのも避けるようにしましょう。
お歳暮を贈る際は実用性だけでなく、品物の持つ意味にも注意して商品を選ぶことが大切です。
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